
「ベジファースト」、みなさんご存知ではないでしょうか。
野菜を最初に食べる食事法のこと。テレビや雑誌でも何度も取り上げられているから、「あー、聞いたことある!」という方がほとんどではないでしょうか。
でも、「知ってる」と「実践してる」は別の話。そして実践していても、「ちゃんとできてる」かどうかは、また別の話だったりします。
私自身、何年もベジファーストを続けてきました。でも今回、あらためて研究を調べてみたら、「えっ、そうだったの!?」と驚くことがいくつもありました。いちばんのコツは、「ごはんを最後に」だったんです。
この記事でわかること
- ベジファーストは本当に効くのか(日本の研究でわかったこと)
- 野菜を先に食べると、なぜ血糖値の上がり方がゆるやかになるのか
- 実は「肉や魚を先に」でも効果がある。その仕組み
- 野菜は「5分」かけないとダメなのか。早食いでは効果がないのか
- 最初に食べる野菜は、どのくらいの量がいいのか
私のベジファースト、こんなやり方
毎日の食卓で、私が必ず意識していること。それは、最初のひと口は野菜から始めること。
サラダや煮物など、野菜のおかずを一皿分くらい。それに、ほかのおかずも少しいっしょに食べてから、やっとごはんに手をのばす、という順番です。
保健指導の仕事をしていたころから身についた習慣で、「これは間違いない」と思って続けてきました。
健診で何も言われなくても、続けている理由
実は私、健診の血液検査で、HbA1c(ここ1〜2か月の血糖の状態を表す数値)が5.6%でした。赤い字はついていないし、何も言われていません。
でも、厚生労働省の基準では、HbA1cは5.6%から「保健指導判定値」。ちょうど、その入り口にいるんです。その話は、体の焦げ(AGE)の記事にくわしく書きました。
だからこそ、ベジファーストのような毎日の小さな習慣を、これからも大切にしたいと思っています。

ベジファースト、本当に効くの?
ベジファーストの研究は、実は日本でたくさん行われています。
京都府立医科大学などの研究グループが、同じ食事を「野菜を先に食べる日」と「ごはんを先に食べる日」でくらべたところ、野菜を先に食べたほうが、食後の血糖値の上がり方がゆるやかでした。健康な人でも、2型糖尿病の人でも、同じ結果だったそうです。
さらに、2型糖尿病の人が「野菜を先に」を続けたところ、2年半にわたって、血糖のコントロールが良くなったという報告もあります。
野菜を先に食べると、なぜいいの?
野菜に含まれる食物繊維が、あとから食べるごはんの糖の吸収を、ゆるやかにしてくれるからです。
糖が一気に吸収されると、血糖値が急に上がり、それを下げるために、すい臓からインスリンがたくさん出ます。この上がり下がりが激しいほど、体への負担が大きくなります。野菜を先に食べると、この波がおだやかになるんです。

実は、肉や魚を先に食べても効果がある
ここが、今回いちばん驚いたところです。
関西電力病院などの研究で、ごはんより先に、魚や肉を食べたときも、食後の血糖値の上がり方がゆるやかになりました。
しかも、こちらは野菜とは別の仕組み。魚や肉を先に食べると、腸から「GLP-1」というホルモンがたくさん出て、胃から腸へ食べものがゆっくり送られるようになるんです。だから、あとから来たごはんの糖も、ゆっくり吸収されます。
ちなみに、野菜(食物繊維)を先に食べても、このGLP-1は増えないそうです。つまり、
- 野菜を先に → 食物繊維が、糖の吸収をゆるやかに
- 肉や魚を先に → GLP-1というホルモンが、胃からの送り出しをゆっくりに
と、それぞれ違うルートで働いている、ということなんですね。
ただし、脂の多い肉料理ばかりを先にたくさん食べると、別のホルモンの働きで、長い目で見ると体重が増えやすくなる可能性も指摘されています。肉や魚のおかずは、いつもの量くらいにしておくのが良さそうです。
だから、コツは「ごはんを最後に」
野菜の力も、おかずの力も、どちらも「ごはんより先に」食べることで生きてきます。
野菜 → おかず(肉や魚) → ごはん
この順番なら、両方の良いところを使えます。
これ、まさに私が何となく続けてきた「野菜を一皿、ほかのおかずも少し、それからごはん」と同じでした。調べてみて、自分のやり方に「そういうことだったのか」と、ちゃんと理由がついた気がします。

野菜は「5分」かけないとダメ?
ベジファーストの効果が最初に確かめられた研究では、野菜の小鉢を5分かけて食べ、次に肉や魚のおかず、ごはんは野菜の10分後、という食べ方でした。「野菜は5分かけて」は、ここから来ています。私も保健指導では、そう伝えてきました。
でも、毎食5分かけるのは、正直むずかしい日もありますよね。私も、野菜に2〜3分かけるのがやっと、という日がほとんどです。
そこで気になるのが、「急いで食べたら、効果はなくなるの?」ということ。実は、2023年の研究で、こんな結果が出ています。
健康な若い女性に、同じ朝食を、
- 10分で早食い(野菜が先)
- 20分でゆっくり(野菜が先)
- 20分でゆっくり(ごはんが先)
の3通りで食べてもらったところ、早食いでも、野菜を先に食べれば、ごはんを先にゆっくり食べるより、血糖値の上がり方がゆるやかでした。
ゆっくり食べたほうが、食べ始めて30分後の血糖値は、さらに少し低かったそうです。でも、いちばん大事なのは、速さより順番だったんですね。

とはいえ、ゆっくり食べることにも意味はあります。満腹を感じるまでには、食べ始めてから15〜20分かかるといわれています。急いで食べると、お腹がいっぱいだと気づく前に食べ過ぎてしまうことも。
時間がある日は、野菜に5分。忙しい日は、順番だけでも。そのくらいの気持ちで十分だと思います。
野菜の量は「小鉢1皿」から
ベジファーストの野菜は、ひとくちサラダより、しっかり一皿を意識したいところです。
目安は、小鉢1皿(約70g)。国の「食事バランスガイド」で、野菜の料理1つ分とされている量です。おひたし、サラダ、煮物などの小鉢を1つ、食事のはじめに食べるイメージです。
1日に野菜をどれくらい食べればいいかは、野菜350gの記事で、私の1日を数えてみました。
噛みごたえのある野菜を、作り置きしておく

続けやすくするコツは、冷蔵庫にすぐ出せる野菜のおかずを作っておくことです。
コールスローやもやしのナムルなど、シャキシャキとした食感の野菜のおかずを作り置きしておくと、自然とよく噛む習慣にもつながります。「何を最初に食べようか」と考えなくても、冷蔵庫から出すだけで準備完了です。
ほかにも、いいことはある?
ベジファーストを続けていると、
- 最初に野菜でお腹が少し落ち着くので、食べ過ぎを防ぎやすい
- 毎食、野菜を一皿食べるので、1日の野菜の量が自然と増える
といった、うれしいおまけもあります。
野菜に多い食物繊維は、腸の調子にも関係しています。ただ、食物繊維は「足りていない人」にいちばん効く、ということも分かってきました。その話は、腸活の記事にまとめています。
まとめ
- ベジファーストは、日本の研究で食後の血糖値の上がり方がゆるやかになることが確かめられている
- 野菜を先に → 食物繊維が糖の吸収をゆるやかに
- 肉や魚を先に → GLP-1というホルモンが、胃からの送り出しをゆっくりに
- だから、コツは 「野菜 → おかず → ごはん」。ごはんを最後に
- 研究で確かめられた食べ方は野菜に5分。でも、早食いでも順番を守れば効果はある
- 野菜は小鉢1皿(約70g)から。作り置きで、続けやすく
ベジファーストは、特別な食材も高い道具もいりません。今日の夕ごはんから、すぐに始められる習慣です。
完璧にやらなくても大丈夫。まずは「ごはんを最後に」。それだけを、今日の食卓から始めてみてはいかがでしょうか。

出典・参考
- Imai S, et al. Eating vegetables before carbohydrates improves postprandial glucose excursions. Diabetic Medicine. 2013;30(3):370-2.(野菜を5分かけて食べ、ごはんは10分後という方法)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23167256/ - Imai S, et al. Effect of eating vegetables before carbohydrates on glucose excursions in patients with type 2 diabetes. Journal of Clinical Biochemistry and Nutrition. 2014;54(1):7-11.(2年半の血糖コントロール)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24426184/ - Imai S, et al. Eating Vegetables First Regardless of Eating Speed Has a Significant Reducing Effect on Postprandial Blood Glucose and Insulin in Young Healthy Women. Nutrients. 2023;15(5):1174.(早食いでも野菜が先なら効果あり)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36904173/ - Kuwata H, et al. Meal sequence and glucose excursion, gastric emptying and incretin secretion in type 2 diabetes. Diabetologia. 2016;59(3):453-61.(魚・肉を先に→GLP-1、胃からの送り出しがゆっくり)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/26704625/ - Kubota S, et al. A Review of Recent Findings on Meal Sequence. Nutrients. 2020;12(9):2502.(食物繊維はGLP-1を増やさない、脂の多い肉料理の注意)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32825124/ - 神奈川県「“早食い”は肥満のもと」(満腹中枢が働くまで食べ始めから15〜20分)
https://www.pref.kanagawa.jp/docs/mv4/kenken/contents14.html - 農林水産省「『食事バランスガイド』の適量と料理区分」(副菜1つ=主材料約70g)
https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/kenzensyokuseikatsu/about_b_guide.html - 厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム(令和6年度版)」(HbA1c 5.6%以上が保健指導判定値)
※情報は2026年10月時点のものです。
記事内の情報は一般的な情報提供を目的としたものです。糖尿病などで治療中の方は、主治医や管理栄養士の指示にしたがってください。
【この記事を書いた人】
pon|管理栄養士・RYT200保有。現場経験15年以上、現在も医療機関で栄養指導をしている40代主婦。自分で試して、きちんと調べたことをもとに、無理なく続けられる食と暮らしのヒントを発信しています。(詳しいプロフィールはこちら)


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