「腸活」と聞いて、何を思い浮かべますか。
ヨーグルト。乳酸菌飲料。サプリメント。——だいたい、このあたりではないでしょうか。
でも、結局のところ、何を食べればいいの?
実は私、以前「腸活」ってなぜこんなに流行ってるの?という記事を書いたとき、最後にこう予告していました。
次回は、腸活の具体的な方法(何を食べればいいの?)を管理栄養士目線でご紹介します。
……正直に言うと、すぐに答えを出せずにいました。 ちまたの情報が多すぎて、どれを信じていいのか、私自身が整理できていなかったからです。

きっかけは、まわりの女性たちでした
私のまわりには、お通じのことで困っている女性が、ちらほらいます。
私自身は、ありがたいことに快腸です。ただ、それでも時々は不快な日があるので、気持ちはよく分かるんです。
そこで今回、公的な資料と、お医者さんの診療ガイドラインにあたって、きちんと調べてみました。すると——予想とはまったく違う事実にたどり着きました。
この記事で分かること
- 腸活で何を食べればいいのか、公的機関が勧めていること
- 食物繊維は「足りていない人」にしか効かない ← ここがいちばんの驚きでした
- 動いていない人には、食物繊維が効きにくいという報告
- 私たちの野菜が、平均で約90g足りていないこと
- 名指しで根拠がある食べ物(キウイ・プルーン・米や豆・ヨーグルト)
- サプリを買う前に知っておきたいこと
腸活、結局なにを食べればいいの?
まず、公的な資料が何を勧めているのかを見てみます。
日本消化管学会の「便通異常症診療ガイドライン2023」には、こう書かれています。
慢性便秘症に生活習慣の改善や食事指導・食事療法は有効である。
食事を見直すことには、ちゃんと意味がある。まずはここが出発点です。
そして、公益財団法人長寿科学振興財団の「健康長寿ネット」では、便秘対策として次のポイントが挙げられていました。
| 勧められていること | 理由 |
|---|---|
| 朝食を摂る | 腸を刺激し、排便を促す |
| 水分を十分に摂る | — |
| 食物繊維を摂る | 水分を吸着し、便量を多くして柔らかくする |
| 油 | 腸での潤滑油となり、便を出やすくする |
| 適度な酸味や香辛料 | 腸を刺激する |
| 毎朝、便意がなくても一定の時間にトイレへ | — |
| 適度な運動を生活リズムに組み込む | — |
「油」が入っているのが意外ではありませんか。私も「なるほど」と思いました。ダイエットのために油を減らしている方は、かえって出にくくなっている可能性もあるんですね。
さて、ここまでは「まあ、そうだろうな」という内容だと思います。
問題は、この次でした。
ところが——食物繊維は「足りない人」にしか効かない
同じガイドラインの解説に、こんな一文がありました。
慢性便秘症と食物繊維摂取量については必ずしも相関がみられず、食物繊維摂取が有効なのは摂取量が不足している場合のみであるとの報告がある
読んだとき、思わず二度見しました。
つまり——もともと足りている人が、さらに食物繊維を増やしても、効果は期待できないということです。
「腸活のために、食物繊維をとにかくたくさん」。私もそう思っていました。でも効くのは、足りない人が、足りない分を埋めたときだったんです。
では、自分は足りているのか。以前食物繊維は1食に何g必要?で調べたときの答えは、「野菜をたくさん食べているつもりでも、足りていない」でした。
つまり、多くの人が「足りない側」。腸活の第一歩は、ここを知ることです。

動いていないと、食物繊維は効きにくい
さらに驚いたのが、この報告です。
ガイドラインでは、身体活動量で分けて食物繊維の効果を調べた大規模なデータ解析が紹介されていました。
身体活動性の高い人は、食物繊維摂取量と便の硬さに関連を認めたが、活動性の低い人では食物繊維摂取量と便の硬さに関連性はなかった。身体活動性の低い人には、慢性便秘症に対する繊維摂取の効果が低い可能性を示唆している
動いていない人が食物繊維だけ増やしても、効きにくいかもしれない。
これは、ちょっと衝撃的でした。「腸活=食べ物」だと思っていたのに、体を動かすこととセットだったわけです。
運動そのものについても、ガイドラインにはこう書かれています。
- 有酸素運動に症状を改善する効果があるとするメタアナリシス(これまでの複数の研究をまとめて分析したもの)がある。ただし「より厳密な検討が必要」とも書かれています
- 1日15分、週5回の腹壁マッサージが、症状改善に有効と報告された
お腹のマッサージに、根拠があるというのは意外でした。1日15分なら、テレビを見ながらでもできそうです。

水分も、実は「セット」でした
水分についても、同じような話がありました。
ガイドラインによると、食物繊維を十分(25g)摂ったうえで水分を多く(平均2.1L)摂った群では、排便回数が有意に増えたそうです。
いっぽうで、水分摂取だけの有効性は示されていないとも書かれていました。
「水をたくさん飲めばいい」でもなく、「食物繊維を摂ればいい」でもない。組み合わせて、はじめて働く。腸活って、そういうものだったんですね。
じゃあ、どのくらい足りないの?
では、私たちは実際どのくらい足りていないのでしょうか。
厚生労働省の令和6年 国民健康・栄養調査で、20歳以上の野菜摂取量の平均を見てみます。
| 実際の摂取量 | 目標 | 差 | |
|---|---|---|---|
| 全体 | 258.7g | 350g | 約90g不足 |
| 男性 | 268.6g | 350g | 約80g不足 |
| 女性 | 250.3g | 350g | 約100g不足 |
(目標の350gについては、野菜は350g食べようでも書きました)
女性は、約100g足りていません。 小鉢にすると、だいたい1皿半くらいです。
しかも令和5年の調査では、女性の野菜摂取量は平成27年以降、有意に減少しているという結果でした。
私がずっと感じていたのは、まさにここなんです。「野菜は毎日食べています」とおっしゃる方は多いのですが、その「食べている」が、目標の量には届いていないことがとても多い。悪気があるわけではなく、そもそも350gがどのくらいなのかを知らないだけなんですよね。

噛めないと、食物繊維は減っていく
もうひとつ、私が大事だと思っているのが「よく噛む」ことです。
厚生労働省のe-ヘルスネットによると、食べ物をよく噛めなくなると、硬い食品を避けるようになり、ミネラル・ビタミン・食物繊維などの摂取量が低くなることが分かっているそうです。
厚生労働省の検討会では、一口30回噛むことを勧める「噛ミング30(カミングサンマル)」という運動も提唱されています。
野菜をしっかり、よく噛んで、水分も摂って、体も動かす。どれかひとつではなく、そろえること——それが、調べて見えてきた答えでした。

名前が挙がっている食べ物
「では、具体的に何を食べれば?」——ここが、いちばん知りたいところですよね。
ガイドラインの中で、名指しで挙がっていた食べ物を紹介します。
キウイフルーツ・プルーン・サイリウム(オオバコ)
慢性便秘症の方を対象とした試験で、この3つを摂ったとき、どれも同じくらい排便の回数が増えたことが示されています。
さらに、日本人の慢性便秘症の方を対象とした試験では、プルーンを摂ったグループで、便の形が正常に近づく割合が増えたとも報告されています。
小麦より、米や豆類
これは日本人にうれしい話です。
日本人の慢性便秘症に対して、小麦よりも米や豆類由来の食物繊維が多く含まれる食事が有効との報告もある
パンよりごはん、そして豆。前の記事で「ミックスビーンズ小皿1杯で食物繊維6.8g」とご紹介しましたが、豆はやはり頼りになります。
ヨーグルトなどの乳酸菌食品
こちらも、有効との報告があるとされています。ヨーグルトが腸にいいというイメージは、まったくの思い込みではなかったわけですね。

我が家の腸活は、ヨーグルトと納豆
ここからは、私の話を少しだけ。
手作りヨーグルト、8年目
我が家では、手作りのヨーグルトを8年続けています(詳しくは8年続けた手作りヨーグルト習慣に書きました)。
正直に言うと、時々は失敗もします。 それでも8年続いているのは、「腸活のために頑張る」のではなく、夕食後のデザートとして定着しているからだと思います。
「健康のために食べなきゃ」だと、たぶん続きませんでした。楽しみとして組み込む——これが、続けるコツかもしれません。
納豆は、2年前から「タレなし」で
もうひとつの習慣が、朝食の納豆です。2年ほど前から続けています(毎朝納豆を食べ続けて気づいたこと)。
私の食べ方は、ちょっと変わっているかもしれません。納豆には、タレをつけません。
理由はふたつ。ひとつは、納豆は納豆の味で楽しみたいから。もうひとつは、塩分をむやみに増やしたくないからです。
では、あのタレはどうするのか。——卵かけご飯にかけます。
付属のタレって、出汁と旨みがたっぷりなんですよね。卵かけご飯に回すと、これがもう、すごくおいしい。 この組み合わせを見つけてから、私の朝の定番になりました。
納豆は豆で、ガイドラインにも「米や豆類」と出てきます。ヨーグルトは乳酸菌食品。気づけば、公的な資料が挙げている食べ物を、そのまま続けていました。

サプリは買ったほうがいいの?
いちばん多い疑問かもしれません。先にお伝えすると、私はサプリを買わない派です。食事が基本だと思っているからです。
そのうえで、公的な情報を見てみましょう。
ガイドラインには、慢性便秘症に対して「ある種のプロバイオティクスは、排便回数の増加、腹部症状の改善に有効である」とあります。ただし同じ解説に、どれを選べばよいかの指標はないとも書かれています。
厚生労働省のeJIMは、もっとはっきりしていました。
どのプロバイオティクスが有用で、どのプロバイオティクスが有用でないかは、まだわかっていません
つまり——「効くものはある。でも、どれがあなたに効くかは、まだ誰にも分からない」。「ランキング1位」「最強」を探している方には残念な答えですが、これが正直なところなんです。
表示の違いだけは、知っておいて
| 種類 | 国の関わり方 |
|---|---|
| 特定保健用食品(トクホ) | 国が審査して許可する |
| 機能性表示食品 | 事業者が届け出るだけ。国は審査しない |
「機能性表示食品」と書いてあると国のお墨付きのように感じますが、国が審査しているのはトクホだけです(消費者庁)。
気をつけたいこと
- 重い病気がある方や、免疫の働きが落ちている方ほど、リスクは大きいとされています。米国の国立機関(NCCIH)によると、製品に表示されている微生物以外の微生物が含まれていたという報告もあり、免疫が落ちている方では重い健康被害につながった例も報告されています
- 医療機関の受診を、後回しにしないこと
サプリは「お守り」にはなっても、「受診の代わり」にはならない、ということですね。

こんなときは、受診を
最後に、いちばん大切なことです。
健康長寿ネットによると、次のような症状が2つ以上あるときは、慢性便秘症の診断の対象になるとされています。
- いきみが必要
- 硬い便が出る
- 残便感がある
- 排便が週3回未満
食事や運動で様子を見るのもいいのですが、つらい状態が続くなら、我慢せずに相談してください。 便秘は「体質だから」と片づけられがちですが、診てもらう価値のある不調です。
まとめ:腸活は「足す」より「そろえる」
今日のお話をまとめます。
- 公的機関が勧めているのは、朝食・水分・食物繊維・油・酸味や香辛料・定時のトイレ・運動
- ただし——食物繊維が効くのは「足りていない人」だけという報告がある
- さらに、身体活動が低い人には、食物繊維の効果が低い可能性も
- 水分も、食物繊維とセットで効いていた。水だけ増やしても効果は示されていない
- 日本人の野菜摂取量は平均258.7g、女性は250.3g。目標350gに約90〜100g足りない
- よく噛めないと、食物繊維の摂取量まで下がる(厚労省は「噛ミング30」を提唱)
- 名前が挙がっている食べ物は、キウイ・プルーン・サイリウム、米や豆類、ヨーグルトなど乳酸菌食品
- サプリは「効くものはあるが、どれが効くかは分かっていない」。国が審査しているのはトクホだけ
調べ終えて、私がいちばん強く思ったのは、腸活は「何かを足す」ことではなかったということです。
野菜をあと小鉢1〜2皿。よく噛んで。水分も摂って。少し体を動かす。——バラバラにやっても効きにくくて、そろってはじめて働く。
そして、我が家のヨーグルトと納豆が8年・2年と続いているのは、「健康のため」ではなく「おいしいから」でした。貸農園で採れた野菜だって、おいしいから食べているだけです。
完璧を目指さなくて大丈夫。今日のごはんに、小鉢をひとつ。 そこから始めてみませんか。

出典・参考
- 日本消化管学会「便通異常症診療ガイドライン2023―慢性便秘症」(Mindsガイドラインライブラリ)
https://minds.jcqhc.or.jp/summary/c00812/ - 厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001603146.pdf - 厚生労働省 e-ヘルスネット「速食いと肥満の関係-食べ物をよく『噛むこと』『噛めること』」
https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/teeth/h-10-002.html - 厚生労働省 eJIM「経口プロバイオティクス」
https://www.ejim.mhlw.go.jp/public/overseas/c02/09.html - 消費者庁「保健機能食品について」
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/foods_with_health_claims - 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「便秘」
https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/rounensei/benpi.html - 公益財団法人長寿科学振興財団 健康長寿ネット「腸内細菌叢(腸内フローラ)とは」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/kenko-cho/chonai-saikin.html
※情報は2026年9月時点のものです。
記事内の情報は個人の体験と一般的な情報をもとにしたものであり、診断や治療を目的とするものではありません。お通じの不調が続く方、治療中の方、サプリメントの利用に不安がある方は、医師や管理栄養士にご相談ください。
【この記事を書いた人】
pon|管理栄養士・RYT200保有。現場経験15年以上、現在も医療機関で栄養指導をしている40代主婦。自分で試して、きちんと調べたことをもとに、無理なく続けられる食と暮らしのヒントを発信しています。(詳しいプロフィールはこちら)


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