スーパーの一角や、健診のイベント会場で、「手をかざすだけで野菜不足がわかります!」というあの機械——ベジチェック、見かけたことはありませんか?
私も気になって、これまで何度か測ってみました。ところが、正直に言うと……これまで測定した3回とも、結果がバラバラだったんです。毎日けっこう野菜を摂っているつもりなのに、スーパーで測ったときは5.2と低め、健診イベントで測ったときは8と高め、またスーパーで測った時は6.1との結果でした、、、「え、どういうこと?」と、頭に「?」が浮かびました。
そもそも、手をかざすだけで、いったい体の何を測っているんでしょう。そして、なぜ結果がバラつくの? 今日は管理栄養士の視点で、ベジチェックの仕組みと、数値を上げる食べ方まで、まるっと解説します。
ちなみに私は、指先で測る「AGE(体の焦げ)」の測定器でも、同じように結果のバラつきに悩みました。10回測ってわかったことは、こちらの記事にまとめています。
ベジチェックって、そもそも何?

ベジチェックは、飲料メーカーのカゴメが開発した、野菜摂取量を”見える化”する測定器です。
- 手のひらをセンサーに約30秒かざすだけ
- 採血なし、その場ですぐに結果が出る
- 「野菜摂取レベル」(0.1〜12.0)と「推定野菜摂取量」(6段階)が表示される
- 目標は野菜摂取レベル7。1日の目標の野菜350gが、レベル7.0〜8.0にあたります
野菜摂取レベルの大まかな目安は、こうなっています。
| 野菜摂取レベル | 大まかな目安 |
|---|---|
| 10.0〜12.0 | たっぷり |
| 7.0〜9.0 | 足りています |
| 4.0〜6.0 | もう少し |
| 1.0〜3.0 | 少ない |
ちなみに、ベジチェックで測った人の平均は5.9(カゴメ調べ、2025年1〜12月)。平均で「もう少し」なんですね。
私の3回の結果(5.2・8・6.1)を当てはめてみると、「もう少し」→「足りています」→「もう少し」と、行ったり来たりしていたことになります。
手軽に「自分は野菜が足りているかな?」の目安がわかるので、スーパーや自治体の健康イベント、などで見かけることが増えました。
ひとつだけ大事な注意点を。ベジチェックは医療機器ではなく、表示される数値はあくまで目安(推定値)です。ここは正直にお伝えしておきますね。
手をかざして、いったい何を測ってるの?
さて、いちばんの疑問。「手をかざすだけで、なぜ野菜の量がわかるの?」です。
答えは——ベジチェックが測っているのは、皮膚の「カロテノイド」の量です。
カロテノイドとは、野菜(特に緑黄色野菜)に多く含まれる、色素の成分のこと。にんじんのオレンジ、トマトの赤、ほうれん草の緑…あの色のもとになっている成分です。
ベジチェックは、手のひらにLEDの光を当てて、皮膚にどれくらいカロテノイドがあるかを読み取っています。指や手のひらを”のぞいて”いるのは、血液でも脂肪でもなく、この色素の量だったんですね。
なぜ「皮膚のカロテノイド」で野菜の量がわかるの?
ここが、いちばん面白いところです。
野菜を食べると、その中のカロテノイドが体に吸収されます。そして、吸収されたカロテノイドは、2〜4週間ほどかけて、少しずつ皮膚に蓄積されていくのです。
つまり——
たくさん野菜を食べている人ほど、皮膚のカロテノイドが多い → ベジチェックの数値も高くなる
という関係が成り立ちます。皮膚の色素が、いわば「最近ちゃんと野菜を食べてきたかどうか」の記録になっているんですね。今日1日だけでなく、ここ数週間の野菜生活が表れる、というイメージです。
ちなみに、カゴメの研究では、皮膚のカロテノイド量が多い人ほど、メタボの指標となる数値が健康的という関係も報告されています。野菜をしっかり摂ることが、体にとってプラスに働いている一つのあらわれ、と考えると励みになりますね。
「毎日野菜を摂ってるのにバラバラ」——その理由

さて、冒頭の私の疑問。「ちゃんと野菜を食べているのに、3回とも結果がバラバラ」問題です。
調べてみて、なるほど、と思いました。ベジチェックの数値は、いくつかの条件で変動しやすいのです。
- 淡色野菜に偏ると低く出る:キャベツや玉ねぎ中心だと、量を食べていてもカロテノイドが少ないので低く出るのだそうです
- 押し当て方:手のひらの親指の付け根をセンサーにぴったり当て、測定中は手を離さないのが正しい測り方です。当て方がずれると、結果も変わりやすくなります
- 測定時の状態:体調やその時の状態によっても、数値は変わります
- 測る環境・タイミング:毎回ちがう場所・時間だと、条件がそろいません
なぁるほど。私の5.2 や6.1 も、もしかすると淡色野菜が多かったせいかも……と、少し納得しました。
でも、1回の数値に一喜一憂しなくて大丈夫。大切なのは、同じ条件(同じくらいの時間帯・同じ測り方)で、定期的に測って、変化を見て利用するとよさそうです。私のように定期的に測る人用に、「アプリで記録して前回と比べられたらいいのになぁ」と思いました。
ベジチェックの結果は、信用できる?
数値がこれだけバラつくと、「この機械、本当に信用していいの?」と思いますよね。私も思いました。
そこで、カゴメの研究者がベジチェックの開発について書いた論文を読んでみました。青森県弘前市の健診で、811人を対象に調べた研究です。
ベジチェックの数値が、ほかの方法で調べた値とどのくらい一致するかを比べています。
| 何と比べたか | 一致の度合い |
|---|---|
| 採血して測った、血液中のカロテノイドの量 | よく一致する |
| 食事の調査票から出した、食べた野菜の量 | ゆるやかに一致する |
つまり、ベジチェックは——
- 体の中にカロテノイドがどれくらいあるかは、採血をしなくても、かなりよく測れている
- でも「野菜を何g食べたか」までは、ぴったりとはわからない
ということなんです。
なぜ野菜の量とはぴったり一致しないのか。論文には、理由のひとつとして「野菜によって、カロテノイドの量や種類がちがうから」と書かれていました。
同じ100gの野菜でも、にんじんとキャベツでは、カロテノイドの量がまるでちがいます。だから、たくさん食べていても、その中身によって数値が変わってくるんですね。
ベジチェックは、自分の野菜生活を見直す目安としては十分に役立つ。でも、数字そのものより「上がったか、下がったか」を見るのがよさそうです。
数値が低かったときは?
正直に言うと、5.2と出たとき、私はちょっと残念な気持ちになりました。
「野菜、足りていませんよ」と指摘されたようで、少し戒められているような……。管理栄養士なのに、です。
あなたも、低い数値を見て、同じような気持ちになったことはありませんか?
でも、さっきの「信用できる?」の話を思い出してください。ベジチェックが測っているのは、野菜の量ではなく、カロテノイドの量です。数値が低かったら、まずふだん食べている野菜の種類を見直してみるのがおすすめです。
野菜によって、カロテノイドの量はこんなにちがう
食品成分表で、野菜100gあたりの「β-カロテン当量」(カロテノイドの一種、β-カロテンなどの量)を調べてみました。
| 野菜 | β-カロテン当量(100gあたり) |
|---|---|
| にんじん | 8,600μg |
| ほうれん草 | 4,200μg |
| 小松菜 | 3,100μg |
| かぼちゃ | 2,600μg |
| ブロッコリー | 900μg |
| トマト | 540μg |
| キャベツ | 24μg |
| もやし | 3μg |
| 玉ねぎ | 1μg |
| 大根 | 0μg |
※トマトの赤い色素「リコピン」は、この値には含まれていません
にんじんとキャベツでは、350倍以上のちがい。大根は0です。
我が家でよく使う野菜は、キャベツ、大根、玉ねぎ、にんじん、もやし。にんじん以外は、ほとんどカロテノイドがない野菜でした。量はけっこう食べていても、数値が上がりにくかったのは、このせいかもしれません。
だから私は、彩りもかねて、ブロッコリー、ほうれん草、小松菜、トマトを意識して足すようにしています。いつもの野菜を減らす必要はなくて、「色の濃い野菜を1つ足す」くらいの気持ちで大丈夫です。
数値が上がるまでには、1か月くらいかかる
もうひとつ知っておきたいのが、数値が上がるまでの時間です。
カゴメの研究チームが行った試験では、大人26人が、カロテノイドの多い野菜ジュースを毎日1本、4週間飲み続けました。その結果、血液中のカロテノイドは2週間後から上がり始めましたが、皮膚の数値がいちばん高くなったのは、飲み終わってから1週間後だったと報告されています。
つまり、野菜を増やしても、ベジチェックに表れるのは1か月ほど先。今日の数値は、今日の食事ではなく、ここ数週間の食生活の結果なんです。
低かった人も、がっかりしなくて大丈夫。1か月後にもう一度測ってみると、変化がわかるはずです。
実は私、畑でブロッコリーを育てています。収穫時期は毎日のように、たっぷりとブロッコリーを食べるので、その時期にも、また測ってみるつもりです。
どんな野菜を食べると、数値が上がるの?
「じゃあ、数値を上げるには何を食べればいいの?」——ここが、いちばん知りたいところですよね。
カギは、やっぱりカロテノイドが多い野菜です。
- β-カロテンが多い野菜:にんじん、ほうれん草、かぼちゃ、小松菜などの緑黄色野菜
- リコピンが多い野菜:トマト(赤いカロテノイドで、抗酸化力も高いといわれます)
実際にカゴメの研究では、野菜ジュース(200ml)を1か月間毎日飲み続けたら、皮膚のカロテノイド量が増えたという結果も報告されています。毎日コツコツ続けることが、ちゃんと数値に表れるんですね。
野菜には、カロテノイドのほかに、塩分を体の外に出すのを助ける「カリウム」も含まれています。血圧が気になる方は、ナトカリ比の記事もあわせてどうぞ。
管理栄養士のワンポイント

- カロテノイドは油と一緒に摂ると吸収がよくなります。にんじんの油炒めや、トマトにオリーブオイル、など
- とはいえ、緑黄色野菜だけでなく、いろいろな野菜をバランスよく。まずは1日350gの野菜を目標に
- 食事の最初に野菜から食べるベジファーストも、無理なく続けやすい工夫です
数値が低かった人も、がっかりしないで大丈夫。これから野菜を増やせば、1か月ほどでちゃんと上がってくるはずです。(ただ、350g食べても、食物繊維はまだ足りないことがあります。その理由はこちら。)
ベジチェックはどこで測れるの?
「試してみたい!」と思ったら、こんな場所で見かけることがあります。
- スーパーや青果店の店頭(いちばん見かけやすい)
- 自治体の健康イベント・健診会場・公共施設
- 一部のドラッグストアや職場など
設置場所は地域やお店によってさまざまで、「どこにでもある」というわけではありません。カゴメの公式サイトには常設店舗の一覧もあるので、「近くにあるかな?」と気になったら探してみてください。見かけたら、ぜひ一度、ゲーム感覚で手をかざしてみてくださいね。
まとめ:数値は「野菜生活の通知表」
今日のお話をまとめます。
- ベジチェックは、手をかざして皮膚のカロテノイド(野菜の色素)を測っている
- 野菜を食べると2〜4週間かけて皮膚に蓄積するので、最近の野菜生活が数値に表れる
- 野菜の種類や測り方で数値はバラつくので、1回の結果に一喜一憂しなくてOK。同じ条件で定期的に測るのが◎
- 数値を上げるには、にんじん・かぼちゃ・トマトなどのカロテノイドが多い野菜を、コツコツと
ベジチェックの数値は、いわば「野菜生活の通知表」。低くても、責められているわけではありません。「これから増やしていこう」の、やさしいきっかけにすればいいんです。これからの鍋の季節は、春菊がおすすめ。実は、100gあたりのカロテン量はほうれん草よりも多いんですよ。(白菜や大根も鍋の定番ですが、淡色野菜なので、カロテン量はほとんどありません。)
見かけたら、ゲーム感覚で手をかざしてみてくださいね。自分の食生活を振り返る、いい機会になりますよ。

出典・参考
・カゴメ株式会社「ベジチェック®」
https://healthcare.kagome.co.jp/service/vege-check
・カゴメ株式会社「【ベジチェック®】とは?」(測定の仕組み・野菜摂取レベルの目標値)
https://healthcare.kagome.co.jp/vc_to_c_2024
・カゴメ株式会社「FAQ|よくある質問」(野菜摂取レベルの平均値)
https://healthcare.kagome.co.jp/faq
・菅沼大行・林宏紀・松本舞「野菜摂取量を非侵襲で推定する仕組み『ベジチェック®』の開発」日本栄養・食糧学会誌 第75巻 第3号 97-102(2022)
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsnfs/75/3/75_97/_pdf/-char/ja
・農林水産省「『もっと野菜を食べよう』野菜摂取量の見える化の取組結果について」(2022年11月)
https://www.maff.go.jp/j/seisan/ryutu/yasai/attach/pdf/2ibent-40.pdf
・文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース
https://fooddb.mext.go.jp/
※ベジチェック®はカゴメ株式会社の登録商標です。情報は2026年10月時点のものです。
記事内の情報は一般的な情報提供を目的としたものです。ベジチェックの数値は推定値であり、医療的な診断を行うものではありません。健康状態に不安がある場合は、医療機関にご相談ください。
【この記事を書いた人】
pon|管理栄養士・RYT200保有。現場経験15年以上、現在も医療機関で栄養指導をしている40代主婦。自分で試して、きちんと調べたことをもとに、無理なく続けられる食と暮らしのヒントを発信しています。(詳しいプロフィールはこちら)


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