
お酒、やめました。
きっぱり、完全に。 かれこれ4年くらいになります。今はもう一滴も飲んでいません。
以前の私は、週末になるとビールを1〜2本、ワインもグラスに1杯くらい。決して「大酒飲み」というわけではなかったと思います。それでも私は、お酒を手放すことを選びました。
今日はその理由と、やめてみて気づいたこと、そして管理栄養士として——いえ、ひとりの人間として、どうしても伝えておきたいことを書いてみます。少し正直すぎる話も出てきますが、どうかお付き合いください。
そもそも、みんなどれくらい飲んでいるの?
まずは少し、データの話を。厚生労働省の「国民健康・栄養調査」(令和5年)によると、飲酒習慣のある人(週3回以上、飲酒日に1日1合以上飲む人)の割合は、年代・性別でこんなふうになっています。


グラフを見ると、男性は60代がピークで44.1%。働き盛りから中高年にかけて、お酒が生活に根づいているのが分かります。女性は全体的に低めですが、50代がピークです。
そして注目したいのが、若い世代の「飲酒離れ」。男性20代の飲酒習慣者は、20年前(2003年)は20.2%だったのが、今は9.6%と半分以下に減っています。
その背景には、「酔っぱらうのはカッコ悪い」「体や美容に気をつかいたい」という価値観や健康志向の変化、節約志向、そしてスマホやSNSなどお酒以外の楽しみが増えたことなどがあるといわれています。「お酒は飲むのが当たり前」という時代は、静かに変わってきているのかもしれません。
私がお酒をやめた理由
ここからは、私自身の話です。
きっかけは、ふたつ重なりました。ひとつは、保健指導の仕事を通してアルコールについて学んだこと。もうひとつは、ちょうどその頃、人生の中でつらい出来事があったことです。
正直に言うと、あのフワーッと酔う感覚が、私には心地よかったんです。お酒が入ると、つらいことがやわらいでいくような気がして。
でも——その感覚ばかりを追い求めるうちに、「もっと」という欲が、だんだん大きくなっていくのを感じました。なくなったら買いに行かなきゃいけない。酔いが覚めれば、また現実が待っている。気づけば、お酒に逃げていたんです。
「これは、なんだかバランスが良くないな」。
「このままじゃいけないな」。
そう思って、私はお酒に逃げることを、やめました。
やめてみて、気づいたこと
やめてみて、いちばん感じたのは——「欲を手放す」って、こんなに身軽なんだ、ということでした。
「なくなったら買いに行かなきゃ」という縛りから、ふっと自由になれた。お金だって、ちゃんと浮きました。
今、お酒の代わりに飲んでいるのは炭酸水です。シュワっと爽快で、これで十分。むしろ、「あの時はあんなに、なんで飲んでいたんだろう?」と、今では不思議に思うくらいです。

「飲まない」を楽しむ、という新しい考え方
実は今、私のような「飲まない選択」をする人が、静かに増えています。
そのひとつが「ソバーキュリアス」という考え方。これは、お酒を飲める人があえて飲まないことを選ぶライフスタイルのこと。「Sober(しらふ)+Curious(好奇心)」を組み合わせた言葉で、Z世代やミレニアル世代を中心に広がっているそうです。
それに合わせて、ノンアルコール飲料の種類もぐっと豊かになりました。国内のノンアル市場は、約10年前の約1.4倍に拡大しているというデータも。バーやレストランでは「モクテル」(ノンアルコールのカクテル)が楽しめるお店も増えています。
「お酒が飲めないと、場がしらける」「付き合いが悪いと思われる」——そんな空気も、少しずつ変わってきています。飲まなくても、ちゃんと楽しめる。私自身、それを実感している一人です。
それでも、知っておいてほしいこと
ここからは、いちばん伝えたいことです。
日本では、お酒のCMがたくさん流れていて、有名人がおいしそうにグラスを傾ける——「大人の、スカッとする飲み物」というキラキラしたイメージがありますよね。

でも、これは世界共通ではありません。たとえばフランスでは、「エヴァン法」という法律で、テレビや映画館でのアルコール広告が禁止されています。ワインの国として知られるあの国が、です。広告を出す場合も「アルコールの乱用は健康に害を及ぼす」という警告文の表示が義務づけられています。ほかにも、ノルウェーやタイのように、お酒の広告を厳しく制限している国は少なくありません。
そう考えると、有名人が楽しそうにお酒を飲むCMが当たり前に流れる日本は、世界的にはむしろ珍しいほうなのかもしれません。それくらい、お酒は本来「気をつけて付き合うべきもの」とされているのです。
もちろん、節度を守って適度に楽しめる人にとっては、お酒は人生の楽しみのひとつだと思います。それは否定しません。
でも、その裏側で、アルコールに依存してしまう人が、決して少なくないということも、知っておいてほしいんです。
私は保健指導の仕事の中で、あの「一瞬フワッとできる感覚」に囚われて、節度を失い、快楽にハマって、体を壊してしまっている人を、たくさん見てきました。そして——正直に言うと、私の親戚も、お酒で命を落としました。
お酒には、知らないうちに足を踏み入れてしまう「沼」のような側面がある。その沼があることを知らないまま近づくのは、こわいことなんだよ、と。私はそれを、伝えたいのです。
私自身、つらさをお酒でやわらげようとして、うまくバランスを取る自信が揺らいだ経験があります。だから今、私はその「欲」と、あえて距離を置いているのかもしれません。とても前向きな理由ではないけれど——それでも、お酒がなくても、私はちゃんと楽しく生きていけます。
まとめ:飲まない選択も、あっていい
最後に、今の私の気持ちをまとめます。
- お酒は、完全にやめました。今は炭酸水で十分満足しています
- やめてみたら、「欲を手放す身軽さ」「縛りからの自由」「浮いたお金」を実感しました
- 「飲まないを楽しむ」考え方(ソバーキュリアス)や、ノンアル・モクテルも広がっています
- 適度に楽しめる人にとってお酒は楽しみのひとつ。でも、依存という「沼」があることも知っておいてほしい
お酒を飲む・飲まないに、正解はありません。ただ、「飲まないという選択」も、ちゃんとアリなんだということ。そして、もし今、お酒との付き合い方でしんどさを感じている人がいたら——どうか、ひとりで抱え込まないでください。
飲まなくても、毎日はちゃんと楽しい。私はそう感じています。
ここで私から1冊の本をご紹介します。倉持穣 著書の「今日から減酒!」です。アルコール依存について、わかりやすく書かれた本です。もっとアルコールについて知ってみたいと思った方は、ぜひ一度手に取ってみてください。
お酒のことで困ったら、相談できる場所があります
「お酒をやめたいのにやめられない」「家族の飲酒が心配」——そんなときは、ひとりで悩まず相談してください。お住まいの地域の保健所や精神保健福祉センター、かかりつけの医療機関で相談できます。厚生労働省の依存症に関する情報サイトなどでも、相談窓口を調べることができます。

この記事は個人の体験と一般的な情報をもとにしたものであり、診断や治療を目的とするものではありません。お酒との付き合い方や健康に不安がある場合は、医療機関や専門の相談窓口にご相談ください。
執筆者:pon
管理栄養士。医療機関での勤務経験を活かし、減塩・食品表示など「体にやさしい食」をテーマに発信しています。ヨガ講師資格(RYT200)も持ち、食と心身のケアの両面から情報をお届けします。


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