スーパーのコーヒー売り場に立って、ため息をつくことが増えました。
以前は一袋498円くらいで買えていたレギュラーコーヒー(粉)が、気づけば798円。中には898円のものまであります。私はコーヒーが大好きで、朝と昼食後の1日2杯を、もう長年の習慣にしています。それだけに、この値上がりはなかなか堪えるものがあります。
正直、値上がりには少しずつ慣れてきました。でも——この先、いったいどうなるんだろう。そんな不安もあります。今日は管理栄養士として、そして一人のコーヒー好きとして、コーヒー価格について調べたことをまとめます。

コーヒー、今どれくらい値上がりしているの
私の実感どおり、これは思い込みではなく事実でした。
2026年3〜4月にかけて、UCC・キーコーヒー・ネスレといった主要メーカーが、集中して価格を改定しています。値上げ幅はメーカーによって10〜55%と幅がありますが、店頭での実質的な価格上昇は10〜18%程度と見込まれています。
「一袋498円→798円」という私の体感は、まさにこの数字が積み重なった結果だったんですね。
なぜこんなに高くなったの?
理由を調べてみると、いくつもの要因が重なっていることがわかりました。
① 生産国の不作、そして国際相場の高騰
コーヒーの主要産地であるブラジルでは、深刻な干ばつと霜害が重なり、アラビカ種の生産量が大きく減少しました。ベトナムでも干ばつによってロブスタ種の不作が深刻化しています。
こうした供給の減少を受けて、アラビカ種の先物価格は2024年12月に約50年ぶりの過去最高値を更新。1kgあたり約9ドルへと、倍増しました。「不作で豆が減る→相場が上がる」という、需要と供給のシンプルな関係が働いています。

② 円安(追い打ち)
そこに追い打ちをかけているのが、円安です。コーヒー豆はドル建てで取引されます。1ドル110円だった時代に比べ、今の160円前後の円安水準では、同じ量の豆を輸入するのに約1.4倍以上のコストがかかってしまいます。豆自体が値上がりしているところに、為替でさらにコストが膨らむ——ダブルパンチのような状態です。
実は、ベトナムの「ドリアン転作」も一因に
そして、これは本を読んでいて知ったのですが——コーヒー高騰の背景には、意外な”犯人”がもうひとつ隠れていました。それが、ベトナムのドリアンブームです。
中国の爆発的なドリアン需要
ここ数年、中国でドリアン人気が爆発的に高まっています。世界で生産されるドリアンのうち、なんと91%が中国で消費されているのだそうです。中国は2023年だけで140万トン、67億ドル相当のドリアンを輸入し、そのうち50万トン・23億ドル相当がベトナム産でした。
コーヒー農家が、ドリアン農家に
ドリアンは、農家の受取価格が1kgあたり480〜720円にもなる、非常に収益性の高い作物です。同じ土地で作るなら、コーヒーよりドリアンのほうが儲かる——そう考えた農家が、次々とコーヒー農園をドリアン畑に転作していきました。

その結果、ベトナムのドリアン栽培面積は2019年の約3万haから、2024年には7万ha超へ、実に2倍以上に拡大。一方でベトナムのコーヒー生産量は、2021年比で約13%も減少したといわれています。
まさか、遠い国の果物ブームが、私の朝のコーヒーの値段にまでつながっているとは。世界は、思っている以上につながっているんだなと実感しました。
そもそも、ドリアンってどんな果物?
日本ではあまり馴染みのないドリアン。ここで少しご紹介しますね。
- 東南アジア原産で、「果物の王様」と呼ばれる存在。現在はタイが最大の産地で、日本で売られているものもほとんどがタイ産です
- 大きさは長さ30cm・直径15cmほどにもなり、重さは1〜3kg。トゲトゲの殻に覆われた、なんとも迫力のある見た目です
- 最大の特徴は、その強烈な匂い。好きな人にはたまらない香りですが、苦手な人には「腐った玉ねぎ」「テレビン油」のような匂いと表現されることも。東南アジアの一部のホテルや公共交通機関では、持ち込み禁止になっているほどです
- ところが、匂いとは裏腹に味は驚くほど豊か。クリーミーな甘さに、ほのかな苦味、ナッツのような風味が混ざり合った、複雑な味わいなのだそうです
- 栄養面では、ビタミンB1・ビタミンC・カリウム・食物繊維が豊富。ただしカロリーは高めの果物です
匂いと味のギャップがすごい果物、というだけで、一度は味わってみたくなりますね。

私はドリップ派。インスタントとの違い
さて、私自身の話に戻ります。値上がりを実感しながらも、私はドリップ(レギュラーコーヒー)を選び続けています。理由はシンプルで、味がインスタントとはやっぱり違うから。コーヒーの豊かな香り、淹れたての味わい——これがあるからこそ、朝と昼のコーヒータイムが楽しみになっています。
実際、日本人のコーヒー消費の傾向を見ても、インスタントが減る一方で、レギュラーコーヒーは増加傾向にあるそうです。私と同じように、「多少高くても、おいしいものを」と感じている人が多いのかもしれません。

2026年後半、そしてこれから、どうなる?
いちばん知りたいのは、やっぱりここですよね。「この値上がり、いつまで続くの?」
正直にお伝えすると——明確な値下がりの時期は、今のところ断言できないというのが、業界の見方のようです。
値段が落ち着くには、2つの条件がそろう必要があります。
- ブラジルなど主要産地の生産量が回復すること
- 円安が解消されること
どちらか一方だけでは足りず、両方が揃わないと、輸入コストの高止まりは解消されません。今の見通しでは、2026年後半も、高止まりから緩やかな上昇が続くとされています。
「もうすぐ下がるはず」と期待するより、「しばらくはこの値段と付き合っていく」と考えておいたほうが、心の準備ができそうです。
コーヒー好きとして、どう付き合っていく?
不安はありますが、コーヒーをやめるつもりはありません。私なりに、こんな工夫をしています。
少しでも安いお店を探す
お店によって、グラム数が多めで価格を抑えた商品を置いているところがあります。同じ予算でも、そういう商品を選べば、少しでも長く楽しめます。買い物のときは、価格だけでなくグラムあたりの単価もチェックするようにしています。
管理栄養士として、適量も意識する
値段の話とは別に、体のためにも知っておきたいのがカフェインの適量。目安は1日400mgまで(マグカップ3〜4杯程度)とされています。私の1日2杯という習慣は、この範囲内で無理なく続けられているのかなと思います。
コーヒーに含まれるクロロゲン酸というポリフェノールには抗酸化作用があり、食後の血糖値の上がり方をゆるやかにする働きも期待されています。値段は気になりますが、体にとっても悪くない習慣だと思うと、少し前向きな気持ちになれます。
まとめ:不安はあるけど、大好きだから続けていく
今日のお話をまとめます。
- コーヒーは2026年3〜4月にかけて主要メーカーが10〜55%の値上げ。店頭では10〜18%程度の上昇
- 原因はブラジル・ベトナムの不作、国際相場の高騰、円安の3つ
- 意外な要因として、中国のドリアンブームでベトナムの農家がコーヒーからドリアンへ転作していることも影響している
- 2026年後半も高止まり〜緩やかな上昇が続く見通しで、明確な値下がり時期は不明
- 私はドリップ派。グラム単価を比較したり、適量を意識したりしながら、これからも楽しんでいきたい
値上がりには、正直まだ慣れきれていません。それでも、朝の一杯、昼食後の一杯は、私にとって欠かせない時間。値段と上手に付き合いながら、これからもこの習慣を大切にしていきたいと思います。

出典・参考
- コーヒー価格の値上げ・国際相場について:各種経済ニュース、コーヒー流通関連の情報
- ベトナムのコーヒー生産とドリアン転作について:日本経済新聞ほか
- カフェイン摂取量の目安:WHO・FDAの見解
- ドリアンの特徴・栄養:各種食品情報サイト
記事内の情報は執筆時点のものであり、価格や見通しは今後変動する可能性があります。カフェイン摂取に関して不安がある場合は、医師にご相談ください。
【この記事を書いた人】
pon|管理栄養士・RYT200保有。医療施設の現場で15年以上の経験を持つ40代主婦。
実体験をもとに、無理なく続けられる食と暮らしのヒントを発信しています。


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