
「家族のために減塩しなきゃ」「健診で注意されたけど、味気ない食事はイヤ……」。でも、いったいどうすればいいの?と悩んでいませんか。
実は私、尿の検査キットで測った推定塩分摂取量が、1日6g前後です。2回測って、5.8gと6.0gでした。
といっても、減塩商品に頼りきったり、料理のたびに調味料を量ったり、という「正直、めんどうなこと」をしているわけではありません。秘訣は、たったひとつ。
「自分の舌を、薄味好みに育てたこと」です。
舌が薄味に慣れてしまえば、それが我が家の「味の基準」になります。作る料理も自然と減塩になり、我慢している感覚もありません。
この記事では、私が実践してきた「気づく・調べる・選ぶ」の3ステップをご紹介します。

私も、昔は塩分なんて気にしていませんでした
最初にお伝えしておくと、私も昔から薄味を意識していたわけではありません。
高血圧でもないし、自分には関係ないこと。というより、関係ないと意識することすらないくらい、塩分のことは気にしていませんでした。
きっかけは、保健指導の仕事を始めたことです。食事や生活習慣について、たくさんの方とお話しする中で、「日本人は平均的に、塩をとりすぎている」ということを、数字で知りました。
| 1日の食塩摂取量 | |
|---|---|
| 日本人の平均(20歳以上) | 9.6g(男性10.5g、女性8.9g) |
| 目標量(成人) | 男性7.5g未満、女性6.5g未満 |
女性の平均は8.9g。目標の6.5gより、2g以上多いんです。

「高血圧じゃない私も、たぶん平均くらいはとっているんだろうな」。そう思ったのが、私の減塩の始まりでした。
濃い味に慣れると、繊細な味がわからなくなる
たとえば、白いごはん。ゆっくりよく噛んで味わえば、ふりかけがなくても、お米本来の甘みを感じられるものです。
また、味は食べる順番にも左右されます。先に味の濃いものを食べると、次に薄味のものを口にしたとき、ほとんど味を感じなくなってしまいますよね。お寿司で「白身から赤身へ」とすすめられるのも、淡白で繊細な味を先に楽しむため。味の感じ方は、食べる順番で変わるんですね。
私たちの舌は、本来、繊細な味を感じとる力を持っています。でも、濃い味に囲まれていると、その力に気づかないまま過ごしてしまうんです。
うれしいことに、舌の上で味を感じとる「味細胞」は、約10日で新しい細胞に入れ替わるといわれています。薄味を続けていれば、舌はちゃんと変わっていけるんです。

STEP1【気づく】自分の「濃い味度」を知ろう
まずは、自分がどのくらい塩分をとっているのかを知ることから始めます。
塩分チェックシートで、ざっくり知る
手軽なのは「塩分チェックシート」です。医師の土橋卓也先生らが作ったもので、みそ汁や漬物、めん類のスープなどを食べる頻度に点数をつけていくと、塩分のとりすぎ度がわかります。
自治体のホームページでも公開されているので、「塩分チェックシート」で検索してみてください。岡山県のページでは、PDFでダウンロードできます。
尿の検査キットで、数字で知る
もっと正確に知りたい人には、尿の検査キットがあります。
私が使ったのは「カラダのものさし」というキット。自宅で尿をとって送ると、尿にふくまれる成分から、推定食塩摂取量、推定カリウム摂取量、ナトカリ比がわかります。価格は1回約3,000円(2026年10月時点)。結果はマイページに記録されるので、前回とくらべることもできます。

私は2回測って、5.8gと6.0gでした。感覚ではなく、数字で「大丈夫」とわかると、ほっとします。逆に、思ったより多かった人は、それが減塩を始めるいちばんの動機になると思います。
STEP2【調べる】いつも食べているものの塩分を知ろう
目標の6.5g未満(女性の場合)を3食で割ると、1食あたり約2gです。
これ、普段からかなり意識しないと届かない数字なんです。なぜなら、加工食品やお弁当には、すでにたくさんの塩分が入っているから。
まずは、いつも買っているものの栄養成分表示で、「食塩相当量」を見てみてください。その食品に、何gの塩が入っているのかがわかります。

ひとつ注意したいのが、表示の単位です。お弁当などは「100gあたり」で書かれていることがあって、1個まるごとの塩分がわからないこともあります。私も困った経験があるので、お弁当の栄養表示が「100gあたり」で困った話にまとめています。
また、「減塩」「塩分ひかえめ」などの言葉の意味のちがいは、「減塩」「低塩」「塩分カット」…一体なにが違う?で調べました。
STEP3【選ぶ】少しずつ、薄味を選んでいこう
普段10g前後とっている人が、いきなり6gの味に舌を合わせるのは簡単ではありません。「制限しよう」「我慢しよう」ばかりでは、続けるのもむずかしいですよね。
だから、少しずつでいいんです。
1食の塩分を、表示で確かめる

お弁当やお惣菜を買うときは、食塩相当量を見てみましょう。1食2gを大きく超えていたら、
- 漬物は半分にしよう
- 付属のタレやドレッシングは、味を見ながら少しずつ使おう
と、少しだけ調整してみてください。

同じような食品なら、塩分の少ないほうを
同じように見える食品でも、商品によって食塩相当量にはけっこう差があります。私は、表示を見て、なるべく塩分の少ないほうを選ぶようにしています。

「濃い」と感じたら、舌が育っているサイン
薄味を続けていると、あるとき「あれ、この味、濃いな」と感じる瞬間がやってきます。
私の場合は、外食でした。以前はふつうに食べていた外食の味付けが、濃く感じるようになったんです。これが、舌が変わったサイン。うれしい変化です。
とりすぎた日は、前後でリセット
毎食きっちり保つのは、正直むずかしいです。だからこそ、心に「幅」を持たせて、細く長く続けましょう。
ラーメンを食べた日は、「あぁ、おいしかった!」と心ゆくまで楽しめばいいんです。その代わり、次の食事から少し控えめにする。1食ごとではなく、数日単位でバランスをとるくらいの気持ちで十分です。

野菜や果物に多いカリウムは、塩分を体の外に出すのを助けてくれます。くわしくはナトカリ比の記事に書いています。
我が家のルールは「薄味で作って、あとから調整」
家族がいると、「自分だけ薄味にするのはむずかしい」と思う人も多いかもしれません。
我が家のルールはシンプルで、基本は薄味で作っておいて、あとはそれぞれが自分で調整すること。
家族が「ちょっと薄いな」と言って、塩を振ったり、しょうゆをかけたりすることもあります。でも、それは個人の味の好みとして、自由にしてもらっています。
あとから足すことはできても、入れすぎた塩は取り除けません。だから、作るときは薄めにしておくんです。
とはいえ、私もときどき失敗します。「これは明らかに薄かったね」という日もあれば、逆に「今日は濃かったね」という日も。そんなときは、また次の料理で調整しています。完璧じゃなくていいんです。

まとめ:「自分の現在地」を知って、少しずつ舌を育てよう
- 日本人の塩分の平均は9.6g。女性の目標6.5g未満より2g以上多い
- 味細胞は約10日で入れ替わる。薄味を続ければ、舌は変わっていく
- STEP1【気づく】塩分チェックシートや尿の検査キットで、自分の塩分を知る
- STEP2【調べる】いつも食べているものの「食塩相当量」を見る。1食の目安は約2g
- STEP3【選ぶ】少しずつ薄味を選ぶ。とりすぎた日は、数日単位でリセット
- 家族とは「薄味で作って、あとから調整」
薄味の生活をしばらく続けたら、チェックシートや検査キットで、もう一度測ってみてください。自分の歩みが合っていたのか、あと何gくらい減らせばいいのかがわかります。
無理なく少しずつ。日々の積み重ねが、きっとあなたの健康を守る力になります。
出典・参考
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(食塩相当量の目標量:成人男性7.5g未満、女性6.5g未満)
- 厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査結果の概要」(食塩摂取量の平均値 9.6g、男性10.5g、女性8.9g)
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001603146.pdf - 岡山県 勝英地域保健課「高血圧予防対策~あなたの塩分摂取傾向のチェックと減塩生活のヒント~」(土橋卓也ら作成「塩分チェックシート」をもとにしたチェックシート)
https://www.pref.okayama.jp/page/631677.html - 脳科学辞典「味蕾」(味蕾細胞のターンオーバーは約10日)
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/味蕾 - カラダのものさし(株式会社ヘルスケアシステムズ)
https://karadano-monosashi.jp/
※情報は2026年10月時点のものです。
記事内の情報は一般的な情報提供を目的としたものです。高血圧や腎臓病などで、医師から塩分の制限を指示されている方は、その指示にしたがってください。
【この記事を書いた人】
pon|管理栄養士・RYT200保有。現場経験15年以上、現在も医療機関で栄養指導をしている40代主婦。自分で試して、きちんと調べたことをもとに、無理なく続けられる食と暮らしのヒントを発信しています。(詳しいプロフィールはこちら)


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